土曜日, 2月 16, 2008

Yahoo! Inc.買収劇に思ふ

ここ2週間ほど、IT業界ではYahoo!対Microsoftの買収対決で大盛り上がりですね。
ステークホルダーは株主はもちろんのこと、OS王者のMicrosoft、検索広告の帝王Google、メディア王News Corp.、同業のAOL、育て親のソフトバンクとそうそうたる顔ぶれで、逆にパイオニアとしてのYahoo!の影響力を実感しております。

株式市場では、MSに買われるしかない、というのが大勢のようですがそれは当たり前のこと。
売却益を得たい株主からしたら、買収提案前の価格に62%プレミアム付けられたら、売りたくて仕方ないでしょう。特にここ1年のYahoo!の決算発表「だけ」を見ていたら。

昨年の夏にTerry Semelから創業者のJerry Yangにバトンが渡ってから、Yahoo!は技術革新に力を入れてきました。いわば「投資期間」だと位置づけているのだと思います。

無論、本来ならば投資と日銭稼ぎのバランスを失えば、会社は失速しますが、Yahoo!にはまだ10億ドル以上の潤沢なキャッシュがある(らしい)そうです。Googleに、Facebookに遅れを取ったYahoo!にとって、やれ「追いつけ」だの、でも「金は稼げ」と言われても「投資」ができなければこのままジリ貧のままで失速したAOLと化してしまう(失敬)事でしょう。

ではそもそも本当にYahoo!は「投資」してるの?そもそもなにに「投資」してるの?
株主に対するJerryのメッセージで述べられているそうです。

「われわれはいま登場しつつあるもっとも巨大なウェブへの入り口であるモバイル市場の成長の可能性に強く期待している」

先日発表したばかりの、oneConnetがまさにその第一歩だと思う。
androidとYahoo! Go3.0が競合するのかどうか、調査不足だけど、少なくともGoogleとMSが”OS戦争”をしている一方で、Yahoo!はその両方のOS上で動く”ポータル”であり続けることに注力しようと考えているのではないか。そもそもYahoo!のスタートラインは、ポータルサイトなのです。


個人的には、Jerryの「投資」の結果を見届けてみたい。なによりMS+Yahoo!になっても、株主が売り抜けるだけで、対Google包囲網としてはプレーヤーが少なくなり、合併統合作業の遅れによってよりいっそうのGoogle独占体制が加速してしまうのでは、という思いが強いです。

インターネットはアイデアとテクノロジーの世界。「規模の論理」だけで勝負できるなら、MySpaceはFacebookに負けていないだろうし、Friendstarだってそうです。MSがYahoo!との統合を望むなら、合併による革新的なアイデアとテクノロジーの合体像を提示すべきだと思います。

そういう意味では、Newscorp+Yahoo!の方がワクワクさせてくれるような気がするので、マードックの底力に1票。

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