Bing, Yahoo!, Baiduなど世界的な企業がGoogleの牙城に機能や検索結果の品質で挑んでいる検索ビジネスですが、もう一個の勝ち方があると思います。すごい簡単なことで、
Adwordsより圧倒的に高収益なビジネスモデルを創ること
です。IR情報から察するにAdwordsのRPS(≒PV単価)は米国でおよそ6円なので、例えば60円のビジネスモデルが作れれば、検索のシェアが1/10しかなくても台頭できます。むしろ運営コストが低くなるはずなので、利益はGoogleを上回ることもできるでしょう。
ただしそのためにはAdwordsと同様の仕組みでは一生勝てません。キーワードに対するオークション入札で単価が決まり、それに対しての検索回数で売上が決まるAdwordsの仕組みでは、規模の論理が働くため70%近いシェアを持つGoogleには対抗しえません。つまり全然違うモデルでパフォーマンスをあげるしかないのです。
個人的にその可能性は、CPA(成果課金)の広告モデルじゃないかなと思っています。Adwordsやスポンサードサーチのようなキーワード入札のCPC(クリック課金)では、クライアント側にパフォーマンスを上げるための努力が必要であり、十分にスケールすることが難しい。
だが例えばCPAのパフォーマンス保証の広告が作れたとすると、クライアントはただ自分の予算そのものと料率を入札するだけで良くなります。あとはその予算を如何に効率良く消化するか、というところですがココがビジネス的且つ技術的な肝になってきます。これが達成できれば理論上広告媒体としてはクライアントの予算限界まで稼ぐことができるので、最強です。
そう簡単に作れるものではもちろんないですが、こういう視点で検索ビジネスを見てみると、ひょっとしたら最初に挙げたどの企業でも無い、もっとずっと小さな会社がGoogleを倒す未来が垣間見える気がします。破壊的イノベーションに期待しています。
水曜日, 3月 31, 2010
Googleに勝つもう一つの方法
Google vs Appleの戦場
Android vs iPhone、AdMob vs iAd、ChromeOS vs iPadなど一見競合分野が増えてきている両社だが、短期・中期的には違うのではないかと思っている。
例えばAndroid。日本でもこの春いよいよ3キャリアから端末が発売されて、Android元年と呼ばれているがiPhoneを使ったことがある人なら誰でもその差を実感すると思う。正直言って両者の差はまだまだ大きい。使い勝手もそうだが、iTunesとの垂直統合が強固であり、そう簡単には切り崩せない牙城となっている。
そんなことはGoogleも最初から分かっていたはず。ではなぜ参入したのか?なぜ無料でオープンソース化したのか?これらを考えて答えを出さないと行けない。
多分、本質的なAndroidの狙いはまだ始まってすらいなくて、それは欧米や日本でのスマートフォンマーケットの獲得ではなく、アジアなどの新興国や発展途上国でパーソナルネット端末を手にいれるのがまだまだ価格的に困難な地域を狙っているのではないか。AdMobはその上でのマネタイズエンジンだし、ChromeOSも同じ狙いだとすると説明がつく。だとするとこれらは実はイノベーションでもなんでもなくて、検索&広告市場そのものを拡大するための中期投資活動ということになり、Appleの主戦場とは別であることになる。Appleの商品は嗜好性も価格も高く、どちらかと言えば先進国向けの商品だから。
それでもジョブスが憤っているのは、当然長期的には競合となってくる可能性が高いから。PCの時も高付加価値を提供していたはずのMachintoshは、オープン化されたPC/AT互換機市場に飲み込まれてしまった経験もあるのだろう。昔と違い今のAppleはサービス・コンテンツまでの垂直統合ビジネスモデルで成り立っているので、かつてよりは磐石とはいえAndroid及びその周辺のデベロッパーやサービス企業がどんな武器を携えてくるか分からない。
個人的にはAppleは常にイノベーティブな新製品&サービスを出し続ければ成長し続けると思うし、そのモデルを言い方は悪いがサルマネしてリーズナブルな形で広めるのをGoogleがやる、て住み分けて仲良くできないのかな、と思ったりもする。お互いの長所を生かせるし、世の中の全体最適にも繋がる。
いろいろ書いてみたけど、この仮説を検証するためにもAndroidとiPadは買っておかないといけない気がしてきた。。お金がかかって仕方ない業界ですネ。
木曜日, 3月 25, 2010
受動的/能動的メディアの違い
最近アメリカではtwitter経由のトラフィックがGoogleを超えたとか、もう検索の時代じゃないとか、そういうメディア記事やブログ記事を見かけて思うのは、そもそも比べること自体がおかしくない?ってこと。
twitterやfacebookでは確かにソーシャルストリームで共有されるurlから各サイトに飛ぶような使い方が一般化していて、そのトラフィックが増えてるのは間違い無い。滞在時間や訪問頻度も高い。けど、検索とは別の使われ方だし使う時間も全く異なる。
これはメディアへの接し方の違いであり、ソーシャルメディアの使われ方がテレビなどと同じ受動的だから。
どちらかというとweb創成期を支えた旧ポータルサイト、例えばヤフーのカテゴリサービスに近くて、何もしなくてもpushされる情報を流し見ている。無論、マスメディアと違ってソーシャルレコメンドされた情報なので、質や量は全く異なるが。
一方の検索サービスは待っていても何も教えてくれない。聞きたいことを伝えないといけない能動的メディアだ。その行為は「人に尋ねる」ことに近い。人類の叡智を蓄えた図書館に調べに行くのも同じで、機能がweb上の全文検索に変わっただけだ。
従ってテレビが登場したときに本がなくならなかったのと同じように、ソーシャルサービスと検索サービスは並存し、まだまだ成長する。一方でマスメディアやポータルサイトは可処分時間をまだまだ奪われるに違いない。
#初めて全文iPhoneで書いてみた。以外といけるもんだね。フリック入力サイコー!
土曜日, 3月 06, 2010
人間とコンピュータの可能性
現在最高のバイオコンピューターであろうヒトの脳でも、まだ数%しか使われていないらしい。
だとしたら今「頭が良い」かどうかなんて、そもそも脳のポテンシャルから考えたら誤差の範疇でしかない。ナンセンス。
ちなみに今のペースでスーパーコンピューターが進化すると2025年に脳の演算が可能になるらしいが、これはあくまで演算能力の話であって脳の動き(=プログラム)を再現できる補償は全く無い。
プログラミングとは人間が脳と同等の動作を一部模写することであるが故に、そのものは脳を超えることはできない。(機械学習を除く。)模写されたことを忠実に、高速に処理するのがコンピューターの得意なところだが、脳が処理する膨大な条件分岐を再現し高速に処理するのは至難の業である。
スポーツでも学問でも人間自体がまだ進化していることを考えると、コンピューターの進化はまだまだ天文学的に伸びる可能性があるということだ。今Googleがどうとか、Appleがどうとか、そんなことはどうでも良くなる時代がかならず来る。50年後には今は存在しない企業がきっと世界を席巻しているはず。諦めるのは文字通り100年早い、ということ。
こんなに心跳ることはない。それを思うと人生で初めて長生きしたいと思った。
IT業界に興味を持つきっかけを与えてくれた亡き祖父に感謝。
そしてこの終わりの無いフロンティア開拓に全力でコミットし続けることにします。