日曜日, 11月 16, 2014

3DS版ドラクエ10からクラウドゲームの未来を考える(前編)

先日ドラクエ10の3DS版の利用期間が終わった。期間更新はしない予定だ。
※余談だが、別アカウントでマッタリとやっていたのだが最終日にログイン障害が起きてて資産移動が出来ず、数十万ゴールドが凍結されてしまっている。利用期間の補填無いのかな…



僕はこの3DS版ドラクエ10で初めてクラウドゲームを体験した、というかもともとそれが目的だった。
当初の触れ込みで期待したことは以下の通り。

a. 年齢層高めのドラクエ10ユーザーのターゲット拡大に3DS展開は寄与するかもしれない

b. マシンパワーが貧弱な3DSでドラクエ10を動かすためにクラウドゲーム、は理にかなっていそうだ

c. 3DS対応によってモンハンのようなリアルソーシャルゲームとして広がるかもしれない


しかし結果としてはどれも当たらなかった。


a. 僕が知る限り若年ユーザーが増えた感覚はない。プレイ時間の違いもあるとは思うが。目立つのはむしろ既存のWiiU,PCプレイヤーによる通称"お布施買い"だ。(自分も含めて。)
この理由はいくつかある。

a-1. やはり期間課金は厳しい?
子供におもちゃを買う時に「毎月1500円」はやはり高いと思う。時代は違うが自分が中学の頃、nifty-serveの月1000円+電話代(月500円ぐらい)の資金調達をするのにどれほど苦労したことか。
クラウドゲームは金がかかるので大変だとは思うが、ドラクエブランドの長期ファン獲得と割り切って、学割があっても良かったのでは?と思う。

a-2. チャットの楽しさを味わえない
実は今回の裏目的として、「妻にオンラインゲームを遊ばせてみる」のも3DS版を買う理由の一つだった。ちなみに妻はオンラインゲーム未経験者だが、ドラクエ9を朝から晩までやり続けていたハマると廃人になるゲーマーである。今回もハマる可能性(リスク?)は十二分にあった。

結果分かったのはキーボード入力が出来ない3DSでは思うようにチャットが出来ず、「ただひたすらマップが広大でレベルが上がりにくいドラクエ」という印象になるということだ。

オンラインゲームの醍醐味はゲームそのものよりも、そこで生まれるコミュニテイの心地良さにあるが、これが楽しめない3DSは決定的に相性が悪かった。
お布施ユーザーは既にコミュニテイが出来上がっているのでこの限りではない。

→以上2つの理由により既存ユーザーの二次利用に留まっていると考えられる。


b. 3DSでのクラウドゲーミングは最も評価して良い部分のはずだった。貧弱な3DSでリアルタイムストリーミングのデコードと描画を実現しているだけで凄いことだ。しかもプレイしてみるとわかるが、キー操作に対する遅延も少なく体感で300㎳程度で十分実用的である。(※タイムセンシティヴなパラディンや僧侶での戦闘は除く)

だがしかし、不具合があまりにも多すぎた。
先述の通りログイン障害はリリース当初から変わらず起き続けており、特定のプラットフォームだけ遊びたい時に遊べないのはオンラインゲームにとって致命的である。

また不具合ではないがリリース時から話題になっていた「文字が潰れて読めない問題」も先述のチャットの楽しさを味わえない部分に影響してしまった。戦闘中のダメージ量や味方の残りHPが瞬時に読み取れないのも、強敵相手の場合は厳しい問題だ。


c. 常時携帯しやすい3DSはチャットが苦手でもモンハンのように「昼休みドラクエ」や「カラオケでドラクエ」を促進するのでは?と思われたが、これもやはり難しかった。

先日一泊旅行に行った時にPCと3DSを持って行き、夜に宿で妻と1〜2時間、イーモバのPocketWiFiを使って遊んだ。十分遊べるレベルの品質だった。

だがしかし、翌日仕事の緊急対応のため車の中でPCを開くとネットに全然繋がらない。試行錯誤の結果分かったのはパケット制限に引っかかっていたことだ。ある程度予想していたが、こんなにすぐ引っかかるとは…

分かっていたこととはいえ、携帯機とクラウドゲーミングはやはり相性が悪かった。


だが自分はクラウドゲームを否定しているわけではない。
思いの外長文になってしまったため、後編にてクラウドゲームの未来を妄想しようと思う。


土曜日, 11月 15, 2014

エンジニアにサービスレベルへの意識は宿るか

なんだか穏やかでないタイトルだと思われるかもしれないが一般論として語らせていただく。

サービスレベルって何?と言う方もいると思うので自分なりの定義を書いておくと


「顧客満足度に反映されるパラメータ」 


である。例えば飯は美味いけど不衛生で店員が無愛想だとサービスレベルが低いよね、と言った具合である。

サラリーマンになって以降感じているのが、エンジニアのサービスレベルへの意識がなかなか上がらない事だ。この傾向はエンジニアのキャリアがSIerから始まっている人に強い気がする。無論これは僕の感覚論で全てのSIerがそうだとは言わないが。

理由を考えてみるとシンプルで、サービスレベル意識を持ってもそこは評価されづらいからだ。経営陣や企画からは、むしろそんなの当たり前でしょ、と思われる事が多いのではないか。

一方で新しい技術や開発手法を取り入れてSNSや勉強会で発表するとエンジニアからは評価されるので、そちらへの意識は必然的に強まる。だが新技術を取り入れるだけでは残念ながらサービスレベルは上がらない。手段と目的は別だからだ。

ではどうすれば良いのか。
ドッグフーディングは一つの良い手法だ。自分自身がユーザーとなれれば必然的に自己満足度を上げようとする。
弊社エンジニアはこれが自然と出来ているためか、比較的サービスレベルへの意識は高い傾向にあると思う。

一方でサービスの特性上、どうしてもドッグフーディングが出来ない場合もある。例えば高齢者向けサービスの開発などは歳をとるところから始めなければならない。困った。

そんな時にできることは、想定ユーザーが使っているところを直で見る事だ。数値解析やアンケート結果など定量的なデータではなく、目の前で使っている人の表情や反応を生で感じることが大事だ。

ちなみにデザイナーは比較的エンジニアよりサービスレベルへの意識が高い傾向にある。これは彼らの意識の中に、「ユーザーが直接触れる部分を作っている」という感覚が含まれており、ユーザーのことを考える必然性があるからだろう。

サービスレベル意識の高いエンジニアは最強だ。神は細部に宿る。そんなエンジニアがどんどん増えていって欲しいと切に願う。